ハビタットスタイルを作りたくても、砂や石が近場に売っていないんですよね。
じゃあ作ってみようということでオリジナルのサンドを作ることにしました。
当社で用意できる国産品・輸入品を問わず石材や砂を仕入れて配合したり、
大きな石材を割って砂の大きさになるまで砕いてみたりと
色々と実験をしてみました。
石材を割るって簡単に言いましたが、これ、大変なんです。
ハンマーでひとつずつ割るんです。
そして初回の試作品ができあがりました。
これくらいの粒度の砂を使ってハビタットスタイルを作っている方は
多いと思うのですが、微塵が敵とされる塊根植物の生育において、
現地の風景感を再現するには敵である微塵に近い「砂」を
上からかけることになるのはマイナス要素も少なからずあるわけで、
現地の風景の再現と、植物の生育と、
どちらを優先させることが正しいのだろうか。
試作品を作りながら私は理想と現実の違いを突き付けられた気がしていました。
最初の試作品
実は他の系統の色のものも試作をしたのですが、納得のいく出来ではなかったので、
まずは納得のいく商品を作ろうと、原材料の石材が複数種類入手しやすい
ベージュ系統のものだけにすることにしました。
しかしながら前述した粒子の小ささがずっとひっかかっており、
納得のいかない商品を作るくらいなら、商品化なんてしないほうが
いいんじゃないかとまで思いました。
数日後、私は経営者なら誰しも知っているかもしれない、
アメリカの開拓時代に繁栄を極めた鉄道会社がなぜ衰退していったかを
著名な経営学者が語った話をふと思い出しました。
その鉄道会社の経営者は自分達の事業を「鉄道業」と定義づけており、
人や荷物を輸送する「輸送業」という認識がなく、
鉄道から車や飛行機にシフトする時代の流れについていけなかったのだ。
つまりは顧客目線ではなく自分(会社)本位の経営をしていたのだという、
有名な話です。
そして今やっている試作と結びつくものを感じました。
メイクアップサンドという「砂」にこだわりすぎて
「砂」を作ろうとしているからいけないんだと。
ハビタットスタイルをやりたい人が欲しいのは、砂ではなく、
現地感を出すことができ、荒々しさを表現できるものなんだと。
自分自身が消費者の立場になって欲しいと思うものを作らないと
買ってもらえるわけがないんです。